2005年01月11日
ERPの市場概況
手元に2003年4月発行の米METAグループによるアナリストレポートがある。
大企業向けERP市場(これをTier I ERPと呼ぶ。中小企業向けのものは、Tier II ERPと言われる)の2004年から2005年への市況予測であるが、中々興味深いものがある。
このレポートの中で、業界リーダーとして、SAP、Oracle、Peoplesoft、それを追うチャレンジャーとしてJD EdwardsとLawsonを挙げて、主にこの5社について、あらゆる側面からの評価をしている。ここで、その内容を詳細に転載することはできないが、そのレポート以降の1年半の間に、この業界で何が起こったのか。今回はその話をしてみようと思う。
2005年1月現在、この業界は二つの大企業の一騎打ち的様相を呈して来ている。
業界最大手のSAPは、1972年に標準アプリケーションソフトを開発する会社として、元IBMの社員であった4人によって、ドイツで設立された(Hernandez, 2000, p.2)。
業界二位としてあげられるのが、データベースの最大手として知られるオラクル(Oracle)であるが、JDエドワーズ(JD Edwards)はピープルソフト(Peoplesoft)に合併され(PeopleSoft, 2004)、昨年度末には、長い間の攻防の末、そのピープルソフトはオラクルに買収されてしまったのだ(LaMonica, 2004)。
また、SAPの方も、何度もマイクロソフトによって買収を持ちかけられていたが、現在のところ、マイクロソフトとは今後一切交渉しないからねーっ、という記事を半年ほど前に見た覚えがある(出典が不明瞭でごめんなさい)。
とにかく、この業界に関わらず、産業界はどこも栄枯盛衰が激しいのだが、この二大巨頭体制が今後どの様に変化していくのか、変更があり次第、またリポートしてみたいと思う。
参考文献
Hernandez , Jose Antonio. 2000, SAP R/3 HANDBOOK Second Edition, McGraw-Hill, USA
Peoplesoft. 2004, J.D. Edwards Now Merged with PeopleSoft, [Online. Internet.] Available:
http://www.peoplesoft.com/corp/en/jde_site_redirect.jsp, Accessed 10 January, 2005
Paul R, La Monica. 2004, Finally, Oracle to buy PeopleSoft, [Online. Internet.] Available:
http://money.cnn.com/2004/12/13/technology/oracle_peoplesoft/, Accessed 8 January, 2005
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2005年01月06日
ERPSを大学院で学ぶということ
私は現在、オーストラリアのメルボルンにあるヴィクトリア大学というところで学ぶ大学院生である。
私のコースは、
Master of Business in ERP systems (ERPシステム専攻ビジネス学修士)
というものなのだ。このコースは12科目を3学期(一年半、又はそれ以上)かけて履修する。コアと呼ばれる必須科目は8科目ある。
Enterprise Resource Planning Systems (ERPシステム概論)
Business Process Engineering (ビジネス・プロセス・エンジニアリング)
Management of Information Technology (IT経営論)
Supply Chain and Logistics Management (サプライチェーンマネジメント論)
Organisation Change Management (組織変革経営論)
Enterprise E-Commerce (Eコマース概論)
ERP Implementation (ERP導入論)
Strategic Use of ERPS (戦略的ERPシステム活用論)
プラス4科目を選択科目の中から選ぶ。例えば、
Application Programming Techniques (ABAP) (ABAPプログラミング)
Transaction Programming Techniques (Adv ABAP) (上級ABAPプログラミング)
Client Server Technology (SAP Basis) (クライアントサーバー技術概論)
Planning and Control through ERP Systems (SAP PP) (SAP PPモジュール)
Human Resource Information Systems (SAP HR) (SAP HRモジュール)
Conputerised Accounting in an ERP Systems (SAP FI) (SAP FIモジュール)
Information Systems Applications Development (SAP work placement) (SAPインターン)
などがある。IT関係のバックグラウンドを持つ人の多いこのコースにおいて、このカリキュラムは非常によくできていると思う。必須科目の中に、純粋な経営学(マネージメント)の科目が3つも入っている。つまり、これを学ばないと卒業できないのである。これらの授業では、パソコンを触ることが一切無い上に、ITの人間においてはかなりショッキングな内容となっている。例えば、サプライチェーンを担当している教授は、アンチERPシステムを堂々と表明している。今でも第一線のサプライチェーンコンサルタントとして活躍している彼の口から、発せられるERPシステムへの不満、警鐘。伝家の宝刀の様にERPシステムをとらえていた学生達にとっては、現実の厳しさを目の当たりにする瞬間だ。そして、組織変革経営論では、ほとんど心理学の様なことを学ばなければならない(私自身は、実は心理学専攻で学士をとっているのだが!)。リーディングしても意味がわからない。完全に門外漢でありながらも、大学院レベルの課題をこなさなければならない苦痛。その苦痛に耐える中で、これまた現実のERPシステム導入が、いかに人間に注視しなければならないかということを、幾度と無く思い知らせてくれるのだ。
そうなのだ。IT業界に勤める人間が、ITのことだけを知っていれば良いという時代は終わった。というよりも、実はそんな時代などなかったはずだ。いついかなる時でも、ITは現実の色々な業務において、色々な要素を伴いながら開発されていった。だから、その周辺知識や、人間に対する深い理解が求められていたはずだった。でも、経営に何の興味もない、いわゆるITナード(おたく)な人でも、その人の持つ深い知識と経験だけで重宝されることができたのも事実だ。このコースにいるナードな人たち(私は、そのナードにもなれない素人)の多くは、経営学を学ぶことの意義を見出せずに不平不満をぶちまける。エッセイ書く時間をSAPの技術習得にあてたいと言うのだ。でもその指摘は間違いだ。ここはディベロッパーを養成する専門学校ではない。言うなれば、会社におけるERPシステムを、俯瞰しつつ全体最適を推進し、予測される現場の混乱や抵抗を収拾し、最終目的である、“顧客の満足を引き出した結果としての利益向上”をもたらすためのキーパーソンを育てる場所、であると思いたい。
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2005年01月05日
NECESSARY BUT NOT SUFFICIENT
必要だが十分ではない ― ERPシステムそれ自身は
E. GoldrattのERPシステムを題材にした小説が手元にある。(邦題は「チェンジ・ザ・ルール」。オリジナルのタイトル以上に、その小説の趣旨を物語っている!) 前回の記事で述べた様に、ERPシステムとは、単なるパッケージソフトで、導入した途端に企業はそのメリットを体感するものなのだ、というのは理想論であり暴論である。この小説は、新しいシステム(テクノロジー)を導入する本来の目的とは何かを、真正面から捉える。当然の様に膨大なIT投資をする企業は、きちんとその投資対効果があったのかを検証してみるべきだ。
システムを導入するだけではだめだ。既存のプロセスを新しいシステムで置き換えたところで、導入費が嵩むだけで何も変わらない。ERPシステムが真価を発揮するのは、全社的に統合されたシステムを利用して、今までの冗長な業務プロセスを、全体最適化されたプロセスへと変革するという場面においてだ(ビジネス・プロセス・エンジニアリング)。そう、従来のルールを変えるのだ!―「チェンジ・ザ・ルール!」
そして、ERPシステム導入の失敗における大きな要因は、テクノロジーではないと言われている。いわゆる人間の問題(People Issues)なのである。最適化されたプロセス群の中では、不必要な業務、不必要な部門、そして不必要な人材が顕在化してしまう。今まで慣れ親しんだ業務プロセスを一から変えろと言われて、素直に喜べる人がどれだけいるだろうか。単なるITシステムの導入だと思っていると、それは必ず失敗するだろう。その本来の目的―“飛躍的な利益の向上、そして企業の生き残り“―において。そして無視できない人間の「変化への抵抗(resistance to change)」を、一体誰がサポートするというのか(チェンジ・マネージメント)。
ERPシステムを語るとき、技術以外の側面にこそ、その成功の鍵があるのかもしれない。
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2005年01月04日
何故、私はERPシステムを学んでいるのか
私がシステムエンジニアをしていたのは、今から既に13年も前の話である。
まじめで残業も厭わないペーペーのSEだった私は、今から考えても相当生意気なヤツだったと思う。その会社で、私は事あるごとに、システムエンジニアリング部にも、コンサルティング部門が必要ではないか、ということを上司に提案し続けていた。システムを経営に生かす、そういう時代が必ず来る、だからメーカーといえども、自社システムから独立したコンサルティング部門が必要である、その部署が出来たら、私をそこに入れてほしい、ということを新入社員時代から言っていたのだから、今思うと、穴があったら入りたいという感じである。当時、コンピュータシステムというのは、会社にとって必要な種々のシステムを人間に代わって高速に処理するためだけのものであったが、それを経営に生かすということは皆無、というより発想すらなかった。確かに、システム部門が出力したデータを経営幹部の部屋に持ち込むことはあっても、膨大に積み上げられたアウトプットは、もちろん参照されることもなく廃棄されていったのだろう。
その後、私のキャリアにおいては空白の10余年、そして子供4人(多すぎ)。
七転八倒の末、結果的にIT関係の仕事に戻ろうと決意。業界の動向を探るべくネットサーフィンして心臓が止まりそうになった。この10年。なんとこの業界は大きく動いていたのだろうか。
システムを経営に生かす時代がと予言していた私は、現実の世界がはるかに自分の浅はかな予想を超えていたのを思い知らされた。生かすどころが、今では、戦略的経営において、情報システムは必要不可欠なメインツールとなっていたのだ。つまり、システムなくして経営なんてない。今はそういう時代である。
そして、ERPシステムがそのメインツールだと、私は信じているのである。
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ERPシステムとは
ERPSは、Enterprise Resource Planning Systemsの略で、その目的は、言うなれば、全社の活動を一つの統合されたシステムで管理すること、と捉えておくとわかりやすいと思う。
つまり、従来のシステムでは、会計部門では会計ソフト、人事部では人事専用のソフトを独自に持っていて、それぞれ別々に管理していたため、例えばデータに冗長性があったり(顧客などの情報を二重、三重に管理するようなこともあった)、整合性のないものがあったりもしたが、その全社のシステムを、一つのデータベースで管理しよう、というのが、ERPシステムの技術的側面における目的である。
しかし、ERPシステムの真髄はそこではない。そのシステムというのは、戦略的経営(その業界において競争力のある企業として生き残っていくための経営)における、無駄のない業務プロセスを実現するため、そして今後の経営における意思決定を促す情報を得るために使われているのである。そして、ERPシステムは、それ自身の中に、既存の産業における考え得る業務プロセスの多くを、最適な手順で組み込んでいる。それを利用することで、その会社における従来の業務プロセスが、いかに意味のない、多くの無駄な作業を含んでいたかに気づき、改善を促していくのである。つまり、ベストプラクティクス(一流企業の経営ノウハウ)を自社に取り入れることができるために、国際競争力のある企業へと変革していくことができる。これが、経営において、システムが中心的ツールであると前述した所以である。ここまでがERPシステムの理想とするところの話である。
ところが、じゃ、そのERPシステムとやらを導入すればいいじゃないか。単なるパッケージソフトだろ、ということで、安易に導入を決定すると大変なことになる。全社的システム故に、ソフトそれ自身や導入にかかる費用も相当なものだ。時間も要する。失敗したら会社経営が傾くほどにダメージが大きい。現に、数々の企業が導入に失敗して、結果的に、ERPシステムは使えなかったということも多々ある。それは何故か。何故失敗してしまうのだろう。
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ERPシステム関連のメモBLOG
自分自身のメモとして、気づいたこと、覚えておきたいことを少しずつ載せていきたいと思っています。
Posted by akemi at 19:02 | Comments (0)