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2007年06月30日
FORGIVENESS
長男には右肘の内側に手術跡がある。
小学校入学前に右手を骨折し、その時に主治医が脱臼を見逃し、二日後に急遽手術となってしまった。
その後、長男の右腕は一生動かなくなる可能性も否定できないと大病院の医師に言われたのを受けて、私は長男の左手に鉛筆を握らせて、毎日左手で字を書く練習をさせた。
素直な長男は、それを不思議に思うことなく毎日続けていた。
私は子供が小さな時から、人生色々なことが起こる、どんな障害を抱えるようなことがあっても強く自分の足で生きていくことを教えなければと思っていた。だからこの時も実際は、子供の右手が動かなくなるかも、ということにあまりショックも受けなかった。ただ強く生きていくことを教えなければと、そればかり思っていた。
しかし不憫なのは次男の方だった。
実は長男の骨折と脱臼は、兄弟で遊具の取り合いをしていた時に、我慢できずに次男が長男を突き飛ばしたのが原因だったのだ。血の繋がりがある限り、この二人を完全に引き離すことなどできない。長男の手が動かない限り、次男は一生十字架を背負ったも同然である。繊細な次男が大人になって平気な振りをし続けることなど不可能だろう。被害者(長男)の親としては、力強く生きていくことを教えるだけで良いが、加害者(次男)の親としては、彼の気持ちを軽くしてあげることがどれほど難しいか、それを思うと胸がつぶれそうだった。
加害者の親の気持ちにどっぷりと浸かっていたが、冷静になってみると、被害者の長男が一番辛いに決まっている、と思い直した。長男は、次男を責めたい気持ちもあったであろうが、そんなことは一言も言わず、電気治療に毎日通っていた。問題児の彼であったが、病院ではただただ黙って、ふざけることも大声を出すこともなく、小さな身体に不似合いな大きな機械の前に座らされて、右手に電気を通すという治療を毎日続けた。4人の子持ちであった私も、自分の辛さなど感じる余裕もなく、小さな体で治療に向かう彼をサポートするしかなかった。
この電気治療は、信じられない位の効果を見せた。
執刀医であった先生は、彼の右手が動いたのを見て、思わず「良かった」と言った後に言葉に詰まり、涙を流してくれた。
傷つけられるのは辛い。
でも傷つけるのは、もっと辛い。
被害者自身が傷を跳ねつけるくらい、めいっぱい幸せになること。
それしかない。
加害者の気持ちを軽くするには。
Posted by akemi at 2007年06月30日 02:29
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