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2005年08月29日

食えない「あけん」のプライベート

日本を離れて3年。もともとテレビを見ない私は、今の環境を困ったと思ったことがない。メルベンにはもともと日本語の放送などなかったし(毎日30分のNHKニュースはあったが、ほとんど見ず)、香港にはケーブルTVにNHKのチャンネルがあるのだが契約してない。誰も見ないからだ。

私の日本に関するニュースソースはもっぱら、asahi.comだったり、IT関係のビジネスニュースサイトくらいなのだが、必要な場合は、都度検索をかけるので、大体のメジャーなトピックはカバーできていると思うのだが、日本のテレビ番組などでどういう報道がなされているのか、多くの日本人がその問題に対してどういう意見を持っているのか、というニュースの「温度」が全くわからない。

たまたま24時間テレビの100キロマラソンがスタートを切ったというニュースを見つけた。今年は高齢の某弁護士が登場、という話が出ていたのだが、24時間テレビのスケジュールもその弁護士の方のことも全く知らなかったので、検索してみた。ライバルの弁護士氏のことなども書かれていたりしたのだが、あるサイトに「100キロマラソンに完走して、そのライバルに肩車された」という記述を見つけた。日本版Wikipediaである。私がたまたまそのページを見たのは、日本時間の9時前。そこから日本テレビにアクセスして事実確認をしたら、やはり感動の完走場面についてのレポートがあった。それを見て私は非常に感銘を受けてしまった。

完走にではない。

いや勿論、それは非常に感動的な場面であっただろう。バックグラウンドストーリーを読めば彼の生き方には感銘を覚える。しかし日本に居てテレビにかじりついているわけではない私からすると、事実しか浮かび上がってこない。日本全国を包まれているであろう「感動の嵐」が、自分自身とリンクしない。温度が分からない。だからその「感動」は私のものではない。

私が「感銘」を受けたのは、ニュースサイトにまだ出ていない「完走」というニュースを、どのサイトよりも早く(実際には日テレと同時くらいだったのだろうが)Wikipediaに文章を追加した人がいるという事実だ。日本全国で人々が感動をしているのと同時に、その事実を歴史の一ページにきちんと「文章で」加えた人がいるという事実。

この事実は、信じがたいほどに私を武者震いさせた。何という時代。大前研一氏が「インターネット革命」を世に出したのは、今から実に10年前。今さらインターネットが革命だ、と騒ぎ立てたいわけではない。BLOG元年と言われた年を経て、ネットの世界はどこへ行くのか。

ここ数ヶ月、私はずっと自分のBLOGの退路を探し続けていた。人間というものはいつ死と直面するかわからない。自分の子供たちが「ママちゃんは、あの時、あの時代、何を考えて、何を想って生きてきたのか、自分たちをどう思っていたのか」そういうことを伝えられずに死ぬのかもしれない。何かのヒントになるかもしれない、そう思って記してきたこともある。時には自分の中で消化し切れないものを吐き出すことで整理できたことが沢山ある。私にとってはある種のライティングセラピーみたいなものであったのだろう。

しかし、もともとの天邪鬼な性格が災いしてか、色々な人のBLOGを読んでみて複雑な思いがわき上がってきた。それは特に作家の方だとか起業家だとか、そういう人たちのブログに対して、複雑な思いがあるのである。

著書を読んだことはなかったのだが、ある有名な作家のブログを読んでいた。その人の生活は普通でない部分も多くあったが、信じがたいほどに普通でもあった。優秀で恐ろしいまでの洞察力を持っているであろうその人のブログには、悩みだとか自信のなさだとか、時にはこちらが心配になってしまうほどの無知さをも曝け出していた。楽屋裏を見てしまった様だった。私はプロの仕事というものにとても感動する。友人のモデルの女性が一日かけて準備をしたものを、数秒の撮影にかける。見ている人はその一瞬から彼女の一日の苦労を嗅ぎ取ることはできない。さも簡単にパチンととりましたという雰囲気しか見えない。でもそこがプロなのだ。

昔は成功した起業家のことは、インタビュー記事や本人の著者など、そういったものでしか伝わってこなかった。人々はその記事の行間を必死で読み取ろうとし、どこが普通と違うのか感じ取ろうと思った。しかし、今現在、自分と同じ時間を生きている経営者が、自分と同じ様に悩み、苦しみ、時には情けないことを吐露したりしているのを見ると、またまた楽屋裏を見てしまった様な気がして複雑な思いにかられる。自分自身が悩んでいて助けが欲しい時には、そういうメッセージは自分を安心させる。そして甘やかしてしまう。

私って本当に勝手な生き物だ。

人間には表と裏があって、オンとオフがあって、陰陽があって、ハレとケがある。全てを曝け出してオールヌードが一番色気があるのか、というとそうではない。

ここ最近、世の中の流れの早さに驚くことが多くなった。その驚きは時には「震撼」に近い恐怖感をも伴った。見なければ、知らなければ、世の中は平和に澱みなく流れていく様に思えたが、実際には上流から滝つぼに水が流れ落ちるが如く、ドタンバタンと流れていく。それも24時間365日止まらずに。私が寝ている間にも、BLOGで心情を吐露している間にも。

ネットの上に情報が溢れ、それを整理するポータルや、売買するオンラインショップ、各種手続きもネットを通じて出来る時代になった。個人のBLOGや日記サイトが増殖し続ける。10年後の状況が読めない。

ネットの世界は、そして人間の生活は、いったいどこへ向かって行くのか。

ただ言えることは、「私」がブログで日記風のエントリーを続けることに違和感を感じ始めているということだけだ。世の中のBLOGについて言っているのではない。今でも私は色々な方のBLOGから、有益な情報や、色々な考え方を学び、自分自身の糧にしていっている。しかし、「私自身」のライティングセラピーは、もう自分で食えないと思ってきたのだ。つまり私は自分のプライベートに興味がなくなってきたのだ。自分自身の価値観やライフスタイル、優先順位に決着がついた。リーチ。もう自分の考え方にリーチがついた。もう手は変えないと思う。これからは「オモテ」から見える一点のために、見えない裏を磨こうと思う。

それが私のささやかな「美学」かな?(笑)

それでも書きたいことはある。外から見える日本だとか、そういうものについては、エッセイ風にこれからも書き加えていこうとは思っている。

Posted by akemi at 2005年08月29日 10:45

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Comments

あけんさん、リンクさせていただきましたよ〜
これからもよろしくね♪

Posted by: Yakko at 2005年09月09日 14:45

お久しぶりです。もう忘れてらっしゃるかもしれませんが・・・(^^ゞ

 「プロ作家」が書く「ブログ」っていうのが、違和感のポイントなのかなぁ、っていう気がします。「経営者」がブログを書いたって、その中身は(直接的には)仕事のことにはならない(はず)。ところが、「作家」の場合、「文章を書く」というのはそもそも「仕事」のはず。プロが、完成前の原稿、というか「元ネタ」になる(かも知れない)物をさらしているのに、違和感を感じるのかなぁ、って思います。

 ちょっと違うかもしれませんが、僕の友人のフルート奏者(プロ)が、クリスマスの身内のイベントで、素人の友人と演奏したところ、その演奏の録音をイベント主催者がサイトで紹介する、と言っているそうで、プロ奏者はものすごく悩んでいます。「プロ」としては人に聞かせたくないような演奏。だけど主催者はあくまでも「友達」として「こんなことやったよ。」という紹介をしたいだけ。

 自分から進んで「舞台裏」(や失敗作)を見せたがる「プロ」なんていないはずなのに。

 あけんさんが「違和感」として感じるのはこういうことなのかなぁ?なんて思いました。久しぶりなのにかなり昔の記事にレスしてごめんなさい。

Posted by: まさぜん at 2005年12月10日 16:55

Yakkoさん

リンクありがとうございました!(って遅すぎのレスですみません)。

まさぜんさん

ご無沙汰致しております!お元気そうで何よりです。
違和感の部分についてなのですが、多分私自身がブログというものの位置づけを消化しきれていないんだと思います。従来の限られたメディアとは全く異質なものなのに、従来の枠組みでとらえようとしているんだと思います。すっかり思考がオバサンですよね(笑)。最近はなかなかブログも読めなくなってきてしまったので、逆に違和感も薄れて来た気がします。というのはこれは完全にプル型コンテンツなわけで、押し付けられたメディアではないということですよね。こちらからアクセスしようという能動性がない限りそこに到達することもない。だからそれを勝手に読んだ私が、そのコンテンツに関して「違和感」を感じるというのは筋違いの話なんだと思います。

またホームページに御訪問頂ければと思っております。今後とも宜しくお願い致します。

Posted by: akemi at 2005年12月18日 00:40

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