2005年04月02日
アジア的ビジネス感覚
香港へ転勤が決まった後、状況が許されて旅行に行くことができた。いつもと同じでタラゴ(エスティマ)で移動。メルベンから片道300余キロにあるレイクスエントランスというところだ。近年まれに見る豪雨。その翌々日、見事に晴れた砂浜を我が家で独占。見渡す限り、砂浜と海だけという贅沢に酔いしれていた時、大型犬がいきなりタカシに襲い掛かってきたのだ。タカシもそのワンちゃんもずぶ濡れ。要するに、そのワンちゃん、タカシと遊んでもらいたかっただけだったのだが、すっかりタカシはベソをかいてしまった。
ごめんなさいね、と話しかけて来られた方がイギリス人の女性だった。それからしばらく彼女と私たちは話をしたのだが、驚くべきことに、その彼女はダンナさんの駐在で10年間も香港に住んでいたというのだ。こんなところで、ほとんど他に人もいないような、オフシーズンの浜辺で、香港情報が得られるなんて。私たちはその運命のめぐり合わせに驚きながらも、彼女の話に耳を傾けた。彼女の話の中心は、彼女の元ダンナさんのアジア的ビジネススタイルの話と、駐在員の奥さんの話だった。日本からオーストラリアに来た時、アジア的ビジネスになれたダンナにはとまどうことも多かっただろうと思う。でも今度行く香港は、あの韓国ビジネスの様に、まぎれもないアジア的なものだとイメージが沸いた。ダンナには向いているかもしれないとも思った。彼女はおもむろに私の方を見て、じゃぁ、あなたは何をするの?と問いかけられ、そうね、当面は子供の面倒を見たりとかしなきゃね、と言った途端、彼女は何てボアリング(退屈)なの、と一蹴した。そしてたたみ掛ける様に、「クラブハウス」のあるマンションに住みなさい、そしてコミュニティに入り込みなさい。私は広東語と料理を教えていたの。あなたもそうやって忙しくしなきゃ。
私は彼女の話に、非常に感銘を受けたのだ。日本人よりも欧米人の方が、広東語に対しての敷居が高いはずだ。私たちは、とりあえず漢字に慣れている。その欧米人の彼女が、広東語を覚えて教えるまでになっていった。だって、この国で英語だけで暮らしていこうと思ったら暮らしていける。裕福な駐在員婦人であればなおさらだろう。市場でねぎる必要もない。そこをポジティブに乗り越えようとする逞しさを、その大柄美女のおばさまから感じ取ったのだった。郷に入れば郷に従え、彼女はそう言っているようにも見えた。
不動産会社のNちゃんは、アメリカンイングリッシュを操ることからもわかるように、ウェスタンなビジネススタイルを踏襲している様に思える(日本人は初めてだとか言っていたけど)。今思い返してみると、彼女の紹介した物件は、数多くはないものの、私たちの条件にばっちりと見合うものばかりだった。多少の好みの違いで、契約するには至らなかったものの、予算、ファシリティ、交通の便、すべてをクリアした物件だけを紹介してくれたのだ。これが、不動産会社の人間に求められているスキルというものかもしれない。顧客の条件に合う物件を厳選して、効率よく紹介して、最短期間で契約を締結する。かけたコスト、とリターンを考えると、こういうスタイルが王道なはずだろう。いわゆる、彼女は仕事が出来る女性なのである。
反面、Sちゃんは連日あちこち連れまわしてくれたけど、予算に収まるものは一つもなかった。結局、つめてみると当初の予算よりも相当高くなって、それを交渉で何とかするというのだけど、その交渉にも限界があった。彼女は私たちの様な大口客は初めてだと言い、必死でやっているのが目に見えてわかった。英語もかなりブロークンで、時々、前回言ったことわかってくれてるのかな?と思うこともあったが、それも愛嬌でここまで来た。でも、私たちはSちゃんと契約したいのだ。まだまだ仕事のスタイルも洗練されていないし、「一所懸命やってますっ」というスタイルだけで、結果が出せるほど甘いもんでもないんだろう、実際のビジネスは。でも、ここはアジアなんだなー。私も日本人なんだなー、と思う。ERPSなんか勉強してて、サプライヤーとの情だけで、高いマテリアルを平気で購買しているメーカーを批判しつつ、私のやっていることは、時代に逆行もはなはだしい。でも、レイクスエントランスのビーチで会った彼女から、香港では、そういうアジアンな感覚(要するに、接待だとかそういうもの)が、ビジネスに大きい影響力を持つのだという話を聞いていたので、そういう中に自分を置いいてみて、あぁ、実際のところ、世の中の半分は、まだこういう世界なのだな、と実感したかったのかもしれない。
私たちの判断が正しかったのかどうかはわからない。未だにSちゃんからも、Nちゃんからもアプローチが途絶えない。特に脈がありそうだと思った時のNちゃんのリアクションは、仕事のできる女性というものを裏付けるのに余りあるほどだった。ダンナはもうすぐ日本出張。また、私は同じ道を歩むのかしら。
Posted by akemi at 2005年04月02日 22:33
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