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2005年03月28日

日曜日のセントラル

ここ香港では働く女性をアマと呼ばれるメイドさんが支えているというのは有名な話なのだろうが、初めて日曜日にセントラルに足を踏み入れた私たちは、週に一度の休日を愉しむ外国籍のメイドさんがそこここに陣取っておしゃべりしたり、プリペイドの電話カードを買ったり、トランプしたり、怪しげなこちらも外国籍の男性達が勧めるものを買ったりという光景を見て複雑な気持ちがしていた。

彼女たちが群がる、これまた怪しげな一角に書かれた英語をカオルが突然、電子辞書でひいた。「ねぇ、質に入れるってどういうこと?」あー、あそこは質屋だったのね、と思うと切ない。彼女たちの顔つきが明るいのが救いだったのだが、不動産めぐりをするとどの部屋にもあるメイド部屋が、あまりにも暗く、狭く、汚いのを見る度に、これを子供たちに見せていいのかと、いやこれが現実なのだと言うべきなのか、色々と考えさせられるのである。

綺麗にリノベーションされている物件でも、メイド部屋だけはそんな改装から取り残されていたりすると、そこまでひどい仕打ちをせんでも、と思ったりもする。ここのメイドさんたちは、月額4000(約5万2千円)ドルにも満たない賃金で週6日、一日中働くのだそうだ。カオルがどうしてそんな低賃金で働くのだと聞いてくるので、これは国の間で、貨幣価値が違うからね、こちらでは高くなくても、フィリピンなどにそのお金を持っていけば、それはものすごい価値があること、故郷では彼女たちの子供や家族が、そのお金で生活していけるのだということを、言葉を選びながら説明したのだが、カンの良い彼女は、もうそれだけで理解できたようだ。

「かわいそうって思っちゃいけないんだよ。これはプロフェッショナルな仕事なんだから。彼女たちにとってもいいビジネスなんだよ。」

とダンナが私に言った。カオルにではない。カオルは現実をまともに直視して、現実がそういうシステムでなりたっているのだという説明を、ふむふむ、なるほどね、と思うだけなのだが、私はついつい感傷的、感情的な物の見方をしてしまうのだ。それにクギをさしたかったのだろう。香港のエネルギーを支えているのは、彼女たちと言っても過言ではないだろう。優秀な女性たちが、子供が病気になろうが何しようが、何の心配もせずに仕事に集中できる環境が、この国では整っているのだ。そう思うと、逆に、日本の働く女性が気の毒なのだという発想につながる。働く女性が、いつ子供が熱を出すのかとハラハラドキドキしているという話をよく聞く。そういえば、先日行ったインターの学校で、途中で呼び出されて急遽お迎えに来た人は、フィリピン人のメイドさんだった。彼女たちは、完璧な英語で、立派に全ての仕事をこなしている。いまお世話になっている不動産屋のSちゃんも、子供をメイドさんに見てもらっているらしい。彼女は、掃除も洗濯も子守も、ご飯も作ってもらえるから、ほんっとにありがたいと言っていた。

確かに。子供の問題が解決すると、仕事に対する敷居がぐっと低くなるのは事実。私の場合、子供が4人いるので、熱を出して子供が学校を休むというリスクが、二人の二倍あるということだ。おまけに帰宅時間に家にいなければ、と思うと、フルタイムの仕事は無理となるし、そうなると就労ビザも取得できないということになる。どっちかに決めなければと思ったりもする。でも、自分の家に、あの小さく暗く汚いメイド部屋に、大人の人を住まわせて、という姿を、子供たちはどう見るだろうか。私って、まだまだ甘いのだな。ことの本質はそういうところにあるわけじゃないのに。

Posted by akemi at 2005年03月28日 00:58

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