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2005年03月31日

浮気の代償

相変わらずSちゃんとNちゃんとの不動産を巡る交渉事は続いている。今日は、Nちゃんのお勧めの物件を見に行く予定になっているのだが、昨日からずっと嫌な予感がしている。ダンナに、「明日見る物件が良かったらどうしよう」などと言っては、その時はSちゃんに頼めばいいか、なんて軽く考えていた。ウェブで物件情報を確認すると、私たちの条件に99%見合う感じ。広さ十分、立地条件完璧、充分すぎるファシリティ。なんでこの値段なの?と思う。引き上げた予算より低い当初の予算内に収まる。今まで決して出てこなかった条件。焦ってNちゃんに確認する。内装がよくないんじゃないの?という問いに、彼女は、実は私もまだ中を見ていないから何とも言えないんだけど、もともとここの物件は香港人なら誰でも知ってるくらい有名なところだから心配しないで、などと言う。アテにしてないというよりも、あんまり良くない物件であって欲しいなどとも思う。だって、私たちは、色々と手を尽くしてくれたSちゃんと契約したいんだもん。

もともと、こういう状況になると、決まってインスペクション前にSちゃんに情報リークして、さっさと見てしまうのだけれども、私の頭の中には前回の「ミニバス内軟禁事件」がぐるぐると回っていて、未だに他のエージェントにアクセスしているのがバレると怖そうだから、今回は黙って行っちゃえ、などと思ってしまった私がアホだったのである。

インスペクションした後の印象は、あーもう、こんなところで決定打が出るかぁー、という感じ。要するに我が家にとっては、今まで数十見た物件の中でのベストワン間違いないだろう。なんでこんなに安いのかと聞く。ゴーストでも出るんじゃないかと思ったのだが、彼女いわく、窓からのビューがいまいち良くないこと、駐車場がついていないこと、売りではなく、どうしてもレントしてもらいたいという事情があるとのことだそうだ。

ダンナに相談。正直にSちゃんに言って、契約すればいいやん、と彼は言う。そんな簡単になるのかいな、と思って彼女に連絡するも、事態は意外な方向へと進む。なんと今度はSちゃんが提示した金額が、Nちゃんよりも4Kドル(日本円で5万2千円)も安いじゃないか。おまけにSちゃんいわく、Nちゃんの提示額はマーケットの状況にてらしあわせて、どう考えてみても高すぎ、というのだ。あー、これで決定。Sちゃん、その値段で話進めて、ダンナ見てないけど、もう決めちゃっていいよ。

ここで私はカオルとハイファイブモード(手と手をあわせて、ハイ、ファーイブ、とやるのだ。出典はオーストラリアの幼児向け番組)と沸き返った。やっとこの、サービスドアパートメント生活から抜け出せる!

しばらくしてダンナから電話がかかってきた。いきなりダンナはビジネスモードで話し始める

「結論から言うと、Sちゃんとは契約できない。違法らしいぞ。」

要するに、香港のルール(法的な根拠があるかどうかはわからないんだけど)としては、最初に物件を見せた不動産屋さんと契約しないといけないらしい。Sちゃんによると、違法というわけではないらしい。トリッキーではあるけれど、何とかSちゃんにも利益をもたらせる手段はあるにはあるが、香港に来て2週間、出足からいきなり違法まがいのことをやりたくないという気持ちが固まっていった。

最高の条件、最高の物件を目の前にして、あきらめなければならない。

悔しさよりも、人の道にそれたことだけはしたくないという思いが働く。ウェスタンな人なら、迷いもせずNちゃんと契約しただろう。どうして?ビジネスじゃない。そんなことよくあることよ、というかもしれない。でも、正直言って、Nちゃんはビジネスにおいてやり手だけど、人間的にいまいち信用できていない。直前のドタキャンが過去3回。約束した電話をくれなかったこと1回。不動産会社との付き合いは、これで終わりではない。色々と物件に問題が出たときなど、これからもずっと付き合っていく人なのだ。だから、私はアジア的人情を大切にしようと思ったのだ。それが通じると思って、Sちゃんもそういうビジネススタイルを私に対してとったのだろう。

ここに来て、ゼロからやり直し。Sちゃんがいながら、Nちゃんに浮気した私が悪かったのだ。こんな代償を支払わされるなんて。もう浮気なんてしないっ。

Posted by akemi at 00:53 | Comments (0)

2005年03月30日

物件選びも最高潮に達しているのに

まだ決まらへんがな。

メルベンの時には、ダンナの日本出張中にほとんど決めてしまって、ダンナは事後承認てな感じだったのだが、今回は、と思っていたら、またまたダンナは来週から日本出張らしい。うーん、いっそのこと私に全ての裁量権を投げ渡してもらいたいと思う日々である。

今日の朝は、地元香港の人のためのインター(というのかしら?)に飛び込みで行く。ボランティアをしている生徒のママさんとおぼしきおばちゃんにオフィスはどこかと聞くのだが、なぜかなかなか英語が通じない。ここは、インターと違うのかしらと不安になりながらも、そのおばちゃんが、オフィスとおぼしき場所に連れて行ってくれたと思ったらいきなり電話の受話器を上げて私につきだした。これでオフィスの人と話せっていうことか。

「すみません。こちらはオーストラリアから越してきたばっかりの日本人なのですが、うちの子供たちの学年に空きはありますか?」

などと聞くも、とにかく校長あてにアプリケーションを出せとしか言わない。そこで食い下がる。

「今まで何校もアプリケーションを出して、その度にアプリケーションフィーも支払って、それで空きがないなどと言われてきたんです(って払ったのは一校だけなんだけど)。空きがあるのかないのかもわからずに、アプリケーション出せません。」

彼女によると、今のところ空きはないのだそうだが、とにかく校長が決定をするから、アプリケーションを出さないことには何ともいえないらしい。

空きがないのに、どういうデシジョンをするというのだぁ!いいかげんなこと言わんとってくれー。と思いつつも、何ともいえない超ローカルな学校の雰囲気に何故かひかれる。まちがっても日本人いなさそうな感じ。ねぇー、やっぱりうちの子供たちは、お私立インターよりも、ローカル色豊かな学校の方が向いてそうだわよねーっ。と思いつつも、学校選びはちょっとペンディングにしなきゃ。住むエリアも決まっていないから、スクールバスのルートチェックさえままならないのだ。まずは家だろう。

毎日の様に我が家のために時間を割いてくれている不動産会社のSちゃん。彼女の勤める不動産会社は、香港にある大手4社の中の一社らしいのだが、こちらがエリアの幅を増やす度に、どんどんと同じ会社の他支社の人たちを紹介してくれるのだ。もともとSちゃんは、ウェスタンミッドレベル担当なのだが、セントラルミッドレベルの時には、しっかりものおばさんが、リパルスベイの時には、ショートカットの年配のMさんと、英語が上手なお姉さん、などなど、関わる人たちがどんどんと増えていってしまう。あっちこっちの物件を天秤にかけつつ、値段交渉。もともとの予算を既に超えているにも関わらず、毎日毎日、予算オーバーの素敵な物件を見せつけては、

「これは内装も綺麗で、広さも十分。施設もこんなについて、値段もここまで譲歩してくれているの。Take it!」

テイキット!ってねぇ。そんな簡単に、服選んでるんじゃないんだから。

前回、一階に空きがあるということで飛んで見に行った物件があった。ファシリティ最高。BBQ場まである。でもバスタブがなくてやや狭い。でも内装綺麗で、クラブハウスがゴージャスこの上ない。ここに決めちゃえ、と思って値段を聞いてみると、「え? Exclusiveなのこれ? 早く言ってよーっ」

エクスクーシブというのは、ガバメントレートとマネージメント料などが含まれていないという意味で、それを含めた実質の支払い金額は、それよりもかなり多くなる。だから、最初からインクルーシブでの予算をちゃんと言ってあるのに。なんでこんなもん見せるねん、と聞くとその度に、「賃料は交渉可(ネゴシアブル)だから、気にしないで」と言うのである。じゃー、うちの予算まで下げて、というと、

「これは、とってもデコレーションが素敵でリノベーションしたて。台所なんてブランニューなんだから、ネゴできてもこの程度までだわねーっ」

要するにまたまた予算オーバーである。今朝のダンナとの打ち合わせで、ここまでのラインだったら予算を増やしてもいいかいな、という線を引き出した。よし、そこで手を打とう。

「ねぇ、Sちゃん。ここ○○Kドルになるんだったら、テイキットするわよ。この金額だったら、私の一存で、make decision できると思う。トライしてみて」

とお願いする。目の前で電話で交渉。おばさんが粘る。実はその物件、私の提示した予算よりも遥かに上の金額でオファーがあったそうだが、大家さんが即刻リジェクト。その理由は、一日でも早く貸したいのに、5月入居予定というのが嫌だったらしい。そこで詰め寄る。ダンナの場合は会社契約だし、私たちは明日にでも引越しできる準備がある。この値段になるのなら、私がファイナルデシジョンしてもいい、といったのだが、しかし。

結論は私たちの予算より若干オーバーで大家がOKを出した。うーん、この金額だったら私では結論だせない。ちょっとダンナに相談を、と思うのだが、ミーティング中とみえて電話の電源切ってるのだ。そこから恐ろしい時間がやってきた。

実は我が家のためにミニバスチャーターしてくれているのだが、物件前のミニバス内で、なぜかバスが止まったまま。私たち3人(不動産やさんの二人&私)の交渉が終わるのを待っているのだ。要するに結論出ないと帰してくれないってわけ? おまけに、

「他のエージェントに絶対頼まないで。この金額は他人にもらさないでね。そうじゃないと、もうあなたとは手を組めないわっ」

って、私はクライアントなんだけどなー。あなたとビジネスやってるわけじゃないんだけど、と思いながらも、その金額だったら、他のあの物件はどう?その値段で交渉できるんじゃない?などと持ち出す私。おまけに第一希望だったテラスハウスが、予算オーバーはなはだしい上に、来年の11月には一斉改築のために引越しを余儀なくされるのだ、という情報が飛び込んでくる。それを理由にディスカウントできんかとも持ちかけてみる。なんか、すっかりフリダシに戻った感じ。やっとのことでダンナに連絡がついて、BBQ場のあるところの12階に物件について彼の意見を聞くや否や、私はすっかりうなだれてしまった。

「え?あの物件?おれキライ。だって狭いやん。別のあっちの方がいい」

彼が指しているのは、物件としては多少大きく、施設も立派なのだが、いかんせん移動するのに不便なところ。本人はタクシーを使って通勤するつもりでいるのだが、私たち家族にとっては、スクールバスや公共バスへのアクセスに便利なところの方が良いに決まっている。あー。もう全権私に委任してくれよ、達ちゃん。


Posted by akemi at 00:47 | Comments (0)

2005年03月29日

香港を愉しむ子供たち

子供たちというのは本当に先入観がない。いきなりメルベンに連れていかれた時は、どうなることやらと思ったのだが、今度はアジアに戻って来たという感じが強いのか、それとも単に物欲を満たせる環境に満足しているのか、とにかく毎日大喜びである。実際のところ、親の私たちは、バックパッカーをしていた若い頃とは意識も違い、日々の発見に狂喜乱舞しつつも、心の底では「ここは、空気が汚いよなー」という様なことが、頭から離れない。特に月〜金まで仕事を持っているダンナは、やっぱりオンとオフの切り替えが大事だよな。オフの日にまでこんな空気の悪いところだったら気持ち落ち着かないよなー。なんか俺、コーズウェイベイに来ると頭痛くなるんだよ」と言うのだ。

かくいう私も、睡眠時間2時間のテンションで過ごしたメルベン生活でも、お昼寝なんてしたことなかったのに、ここに来て二日連続で、真昼間から暴睡してしまった。もう、体じゅうがヘトヘト。頭の中の雑菌が芯から抜けない感じ。朝起きた瞬間に感じる倦怠感。やっぱり足裏マッサージに行かなきゃだめかなーモードに入っている。何が原因か自分でもわからない。人酔い? 毎日歩きすぎ? それとも大気汚染のせい? メルベンとは違う湿気の多い気候とエアコンききすぎのインドアのせい? よくわからないのだ。

それに引きかえ子供たちは、コアなチャイニーズに舌鼓。手にとるもの何もかもが値段安すぎ、チャイニーズテイストの小物可愛いすぎ、女人街などの露天屋台を見てまわるも、欲しいものあり過ぎ、安すぎ、楽し過ぎ!!!という風に信じがたいほどにエンジョイしまくっている。テレビをつけて、中国語放送の宮崎アニメを見ては、字幕のこれまた中国語に、意味わかる!と大喜び。「少林足球」というかなりイロもののコメディ映画を見ていた時なんて、4人全員画面を食い入る様に見入っては大爆笑していた。来た数日間は、ディスカバリーチャネル専門だったのが、いつの間にか中国語放送を見ている子供たち。

ジャスコに買い物に行くと、カオルが叫ぶ。ママちゃん、これ一つかったらもう一つついて来るんだって! などと言う。そんなことどこでわかるの?と聞き返すと、

「買一送一、って書いてあるじゃん。一個かったらもう一個ついてくる以外に読めないよーっ」

などと言い出すのだ。ホンッとに子供たちって逞しいわね。

Posted by akemi at 01:22 | Comments (0)

2005年03月28日

日曜日のセントラル

ここ香港では働く女性をアマと呼ばれるメイドさんが支えているというのは有名な話なのだろうが、初めて日曜日にセントラルに足を踏み入れた私たちは、週に一度の休日を愉しむ外国籍のメイドさんがそこここに陣取っておしゃべりしたり、プリペイドの電話カードを買ったり、トランプしたり、怪しげなこちらも外国籍の男性達が勧めるものを買ったりという光景を見て複雑な気持ちがしていた。

彼女たちが群がる、これまた怪しげな一角に書かれた英語をカオルが突然、電子辞書でひいた。「ねぇ、質に入れるってどういうこと?」あー、あそこは質屋だったのね、と思うと切ない。彼女たちの顔つきが明るいのが救いだったのだが、不動産めぐりをするとどの部屋にもあるメイド部屋が、あまりにも暗く、狭く、汚いのを見る度に、これを子供たちに見せていいのかと、いやこれが現実なのだと言うべきなのか、色々と考えさせられるのである。

綺麗にリノベーションされている物件でも、メイド部屋だけはそんな改装から取り残されていたりすると、そこまでひどい仕打ちをせんでも、と思ったりもする。ここのメイドさんたちは、月額4000(約5万2千円)ドルにも満たない賃金で週6日、一日中働くのだそうだ。カオルがどうしてそんな低賃金で働くのだと聞いてくるので、これは国の間で、貨幣価値が違うからね、こちらでは高くなくても、フィリピンなどにそのお金を持っていけば、それはものすごい価値があること、故郷では彼女たちの子供や家族が、そのお金で生活していけるのだということを、言葉を選びながら説明したのだが、カンの良い彼女は、もうそれだけで理解できたようだ。

「かわいそうって思っちゃいけないんだよ。これはプロフェッショナルな仕事なんだから。彼女たちにとってもいいビジネスなんだよ。」

とダンナが私に言った。カオルにではない。カオルは現実をまともに直視して、現実がそういうシステムでなりたっているのだという説明を、ふむふむ、なるほどね、と思うだけなのだが、私はついつい感傷的、感情的な物の見方をしてしまうのだ。それにクギをさしたかったのだろう。香港のエネルギーを支えているのは、彼女たちと言っても過言ではないだろう。優秀な女性たちが、子供が病気になろうが何しようが、何の心配もせずに仕事に集中できる環境が、この国では整っているのだ。そう思うと、逆に、日本の働く女性が気の毒なのだという発想につながる。働く女性が、いつ子供が熱を出すのかとハラハラドキドキしているという話をよく聞く。そういえば、先日行ったインターの学校で、途中で呼び出されて急遽お迎えに来た人は、フィリピン人のメイドさんだった。彼女たちは、完璧な英語で、立派に全ての仕事をこなしている。いまお世話になっている不動産屋のSちゃんも、子供をメイドさんに見てもらっているらしい。彼女は、掃除も洗濯も子守も、ご飯も作ってもらえるから、ほんっとにありがたいと言っていた。

確かに。子供の問題が解決すると、仕事に対する敷居がぐっと低くなるのは事実。私の場合、子供が4人いるので、熱を出して子供が学校を休むというリスクが、二人の二倍あるということだ。おまけに帰宅時間に家にいなければ、と思うと、フルタイムの仕事は無理となるし、そうなると就労ビザも取得できないということになる。どっちかに決めなければと思ったりもする。でも、自分の家に、あの小さく暗く汚いメイド部屋に、大人の人を住まわせて、という姿を、子供たちはどう見るだろうか。私って、まだまだ甘いのだな。ことの本質はそういうところにあるわけじゃないのに。

Posted by akemi at 00:58 | Comments (0)

2005年03月27日

私たちはどこへ行くのか

あーもう学校も家も決まらないままイースターホリデーに突入してしまった。これから数日〜2週間、インターナショナルスクールへのアクセスが途絶えてしまう。仕方がないから家探しに集中するか。

空きのある学校にぶち込んでやれと思って兄弟バラバラも厭わないというモードで学校に乗り込む。もう何だか度胸だけはバンバンついてきているのだが、いかんせん子供たちがへなちょこで困る。男の子二人がいきなり編入試験に落ちた。予想していたことだけど、現実になると厳しいものがある。兄弟違う学校になるとはいえ、空きはあったのにチャンスを生かせなかった。頼みのカオルはなんとセカンダリーということで、一人孤独に部屋に缶詰されて筆記試験を受けた。結果はまだわからないけど、なんだかこれも怪しい雰囲気。いずれにしろ、去年一年(正確にいうとその前の一年間も)、私は子供たちのことを放ったらかしにしていた。特に勉強については全く見てあげていなかった。そのつけがここに来てまわってきたのだ。他のママさんたちは、自分自身を後手にまわしてでも、必死で子供のサポートに徹してきた。チューターもつけて、習い事をさせて、お金もいっぱい使っていた。私は子供の自ら持つ力を信じてあげるという奇麗事をいいながら、結局、親としての責任を全く果たしていなかったのだということに、今更ながら気づいてしまった。朝から晩まで一貫した日本語環境においていたわけではない。家では日本語、学校では英語、そんな中で全てを自分ひとりの力で平均以上にこなせというのは、スーパー学生でもない限り、無理だったのだろう。いや、正直言うと、これをやってのけたのがカオルだったのであるが、彼女を見ていて、やっぱり出来るやんと思った私が間違いだった。

タカシは日本語の勉強は大丈夫だが、英語はさっぱりだめだった。タツミはどちらかというと日本語よりも英語の方がマシだが、完全にセミリンガル状態で、彼が一番かわいそうだよなと思う。でもタツミは絶対日本語の学校にはいきたくないと言うのだ。あの学校にはもう行けないのだということがわかった瞬間、彼は号泣した。校長先生がナイスだと言っていたのに、彼には本当にかわいそうなことをしたと思う。

テストは子供たちによると、簡単な会話と、リーディングコンプリヘンション(本を音読して、その後に質問に答える)、ライティング(先生にお手紙を書く)というもの。二人とも落ちた原因がわかっていた。リーディングができなかったと。本を音読するのは大丈夫だったのだが、その後の質問に答えられなかったらしい。必死で音読している間に、話の内容を忘れてしまうらしい。でも、それはとってもよくわかる。日本語でも初めて読む本を音読してみると、文字をトレースすることに集中していると、内容がわかっていないということもよくある。
でもこのスタイルは、メルベンの学校でやっていたリーディングの宿題そのまんまで、要するに彼らにリーディング能力がその学年の生徒としてふさわしいレベルになかったということに他ならない。2年半という時間では足りなかったのか、それとももっと日々の勉強をしっかり見てあげれば超えられたレベルだったのか、それはわからない。でもやはり、親としての責任というものを重く感じさせられた事件だった。だって、子供たちは本当によくやった、校長先生もそうおっしゃってらした。こんなに短い期間にものすごい成長を見せた、でも他の生徒のレベルと同じとはいえない、そういうことなのだ。

この結果を受けて、私たちの家探しは大きな方向転換を強いられたのだ。その学校に空きがありそうだという情報を受けて決めたエリアだったのだが、もうそのエリアに住む必要がなくなったのだ。これからは、子供たちが通える学校をまた一から探して、そこへ通える範囲のエリアを探さねばならなくなった。

ところで、カオルのセカンダリーで空きがあったのが、香港島の南側に位置する学校だったので、試験を受けさせるためにサウスサイドに出かけていって、私たちは驚いてしまったのだ。え?ここが香港?と思うほどに素晴らしい自然環境。山と海。カオルの試験が終わるのを学校近くの公園で待っていたのだが、久しぶりに見る土に、子供たちは狂喜乱舞。木の枝を振り回して大喜びだった。待っている私も、久しぶりのフレッシュエアーを吸い込んで、だんだんポジティブに考えられるようになってきた。

ここに住めないかな?

エリア指定のある学校への入学がかなわなくなって、反対に住むエリアを自分で決められる自由を得た。考えもしなかったオプション。ビーチ沿いのマンション、プール付きのテラスハウス。ゴージャスな妄想がだんだんと現実味を帯びていったのは、サウスサイドの物件をまわってみた頃だった。意外に手ごろな価格で十分な広さのある物件があるのだ。会社へのアクセスが遠くなると思って遠慮していたのだが、ダンナも高速バスで20分というのを聞いて、遠くないと思ったらしい。なんせメルベンで自家用車運転して通っていたのだが、時間によっては、30分、40分かかることだってあった。

うーん、家はこれで決まりそうと思ったのだが、今度は学校。うちの子供たちを受け入れてくれる学校なんてあるのかなー?

repulsebay.jpg
Repulse Bay Beachで遊ぶカオル
(我が家の新たな家探しスポットとなった「リパルスベイ」は香港島の南側に位置します。昔の映画なのですが「慕情」の舞台となったことで有名です。ザ・リパルスベイはこのすぐ裏手にあります。高層のシービューの物件と、海は見えないけれどビーチに近いタウンハウスが候補に上がりました)

Posted by akemi at 04:34 | Comments (0)

2005年03月22日

携帯電話が今日も鳴る

例の二つの不動産やさんから何度も電話が入る。懇意にしている方をSちゃん、ひょんなことからダンナがつかまってしまったNちゃんと呼ぶことにする。今日は昨日私一人で見に行った物件がまぁまぁだったことを受けてダンナが再度チェックに入る。

12時に現地集合。私は子供達と上環駅から徒歩で現地入りを画策するも途中でとんでもない豪雨に見舞われ全員びしょ濡れ。雨宿りできる場所も全くない道のど真ん中でとりあえずタクシーをつかまえて乗り込む。ちなみに、普通のセダンのタクシーしかない(メルベンでお世話になった大型タクシーなどないのだ)ので家族で乗れるのかと思ったら全く問題なし。私と子供4人が問題なく乗れる。一回、家族6人で乗り込んでみたが大丈夫だった。流石香港。何でもありやんか。

今日は前回見たものと二日前に見たものを再度チェックする。今日見た三つの物件はタイプが全く違う。若干狭いが高級感溢れる内装、ジェットバス、最新式の冷蔵庫とテレビ付き(カオルの好み)。でも施設がゼロ。もう一つは、プールと卓球場、プレイグラウンド付で若干高くて家具がゼロだが申し分のない広さ。もう一つは物件としては広いがいまいち、だけど香港とは思えないマウンテンビューを独り占め。うーん。実は男の子たちが気に入った物件があったのだが、それは予算オーバー。どんなものかと言うと、家は若干狭いのだが、美しいプールに図書館、ジム、子供用のゲームルーム、BBQ場まであるのだ。男の子たちは、バーベキューのあるところがいいといって聞かない。私の好みでもある。だって、子供たちの友達をいっぱい呼んでバーベキューパーティとかやりたいじゃない!でも相当な予算オーバー。メルベンでの学費がほとんどタダ(公立だったのだが、年間の教材費が一人あたり約1万6千円のみ)だったことを考えると、こちらでインターに通った時の学費については、うーん、うーん、住居費に贅沢言える状況にないのだ。

運悪くSちゃんと一緒に物件まわりをしている最中にも電話が鳴る。相手が誰だかすぐわかるから、知らないふりして電源をオフにする。私ってこんなサイテーなやつだったのねー。実はNちゃんとは2時半にアポをとっているから、後でこそこそとかけなおす。ごめんなさいねー、電車の中にいたので、うるさかったから切っちゃってー、などと見え透いたウソをつきつつ話を進める。が、この彼女しっかりものなのだが、情報のツメがあまい。ぽんぽんと物件を紹介してくれる。え?その物件、Sちゃんから成約済みだと聞いたんだけどと思いながらもアポをとる。決まって後で電話がなる。ごめんなさい。あの物件、既になくなってたみたいで、でも他にも似たような物件があって、これは貴女のファミリーにとってもあっているから是非見に行きましょうよ、と何故かアメリカンイングリッシュでたたみかけてくる。

Sちゃんは私たちにたくさんお金をつかってくれている。バスをチャーターして、タクシー代も払ってくれて、ごねる子供たちにジュースやガムを振舞ってくれた。片やNちゃんの方は、一緒に乗り込んだタクシーで私が払おうとすると、さっとお財布を引っ込めた。それ以来、彼女は一度もタクシー代を払っていない。だから私はSちゃんを贔屓にしている。ときどき、Nちゃんが新しい情報を持ってくると、それをSちゃんにリークして調べてもらう。Nちゃんのアポの前にしっかりとインスペクションも済ませちゃう。後で確認の電話が入ると決まって私は言うのだ。あ、ごめんなさい。その物件既にダンナが見てたみたいで、彼は気に入っていないから見に行かなくていいわ、と。

最近(かどうかは知らないけど)不動産市場はとってもアクティブらしい。投資目的に売買する人が沢山いて、買って一ヶ月で売りに出しては利益を得ている人もいるらしい。だから本当に住みたい私たちみたいな人が後手にまわるのだ。大家さんとのネゴシエーションは私たちでは無理なので、不動産やさんに一任する。色々とネゴにもタイプがある。光熱費を全部含めてくれ、とか家具つけてくれ、とかカーパークいらないから値切れとか。まぁこれも社会勉強だなーっ。

Posted by akemi at 22:42 | Comments (1)

2005年03月21日

物件選び難航

入国の翌日からダンナは会社へ出勤。これもメルベンの時と同じだからびっくりしない。物件選びは私に一任された(わけではないが、勝手に自分でそう思っている)ので、情報は足で稼ぐタイプの私は、子供を連れて目的エリアを歩く。坂ばっかりで死にそう。家探しで靴を一足つぶしそうな感じ。

今日で4日目。何件見たかわからない。二件の不動産屋さんから一日何回も携帯に電話が入る(この電話はメルベンで使っていたもので、香港に着いた翌日にプリペイドのSIMカードを買って使っている)。まだ香港の人の英語に慣れない。こちらの英語も日本人訛り。ちゃんと通じているのかと不安になりながらも強引にアポをとっては物件巡り。先方からも畳み掛けるように情報が入る。ネットで間取りと施設をチェック。地図で立地条件をチェック。足が棒。

今日は航空便が宿泊しているサービスドアパートメントに届いた。ふぅ。炊飯器と調理用具一式、掃除機、アイロン、iMac。掛け布団一式。いつ引越しできるんやと思いながらも、とりあえず炊飯器でご飯を炊く。あー、電子レンジでチンできるトップバリューのご飯も便利だったけど、やっぱり炊飯器で炊くご飯は格別。だって安上がりだもん。

とにかく物件は、全てが「帯に短し襷に長し」状態。私は学校も家も、今まで私のフィーリングがはずれたことがない。つまり、第一印象だけで自分が住む家かどうかがピンと来るタイプだったのだが、今回ばかりは全くわからない。いいなと思うと予算オーバー。広さ十分だと思うとバスタブがない。内装がパーフェクトで綺麗だけど部屋数足りない。子供が4人いて、日本の様に畳の上でゴロ寝というわけにはいかないので、最低3部屋必要。おまけに膨大な書籍とコンピュータ数台、キャンプ用品一式を置く場所が必要になると思うと、収納庫なども重要なポイントなのだ。ここが家選びをダンナに任せられないゆえんである。ぱっとみて良さそうとダンナが思っても、収納庫がなかったり、台所の使い勝手が悪かったりということがある。家が決まらない限り、学校選びも本格始動できない。メルベンでの悪夢がよみがえる。家探しに翻弄されて、やっと落ち着いたと思ったら、オーストラリアの学校のホリデー中。結局、うちの子供たちは、日本の夏休みを含め、3ヶ月半も学校に行くことができなかった(でも、それが何の影響もなかったのも事実なんだけど)。今回もこの木曜日で、2週間のイースター休みに突入してしまう。残された日は二日。明日には決めたいと思いながらも、決定打がなしの状態。明日のアポは、希望サイズよりも小さい物件。既に心が動いていない。物件選びの合間にも、子供たちを連れて、香港サイドの主要ショッピングエリアを練り歩く。スターフェリーに乗せて九龍サイドにも連れて行く。カオルが一言。「私、もうこの景色に慣れた」所狭しと道にせりだす看板を指差す彼女。そして続けてこうも言うのだ。「私、オーストラリアでいっぱい損しちゃったー。買わなきゃよかった。あんなに高いもの」パン一つとっても、オーストラリアでの価格と比較しては、損した損したと大騒ぎだ。マテリアルガールの彼女は、広い大地、広い空よりも、安いマテリアルが大好きだったのね。

Posted by akemi at 20:38 | Comments (0)

2005年03月20日

香港、悲喜こもごも

コンビニエンスがハピネスとイコールではないことは、バックパッカーをしていた頃から知っていた。ここでそんな単純なことを論じようとは思わない。ホテル真下にあるジャスコに行けば、必要なものは全て安価に揃う。これをショッピングを愉しむとは言わない。日本よりもメルベンよりも安いマクドに入って食事をする。それが何だ。子供たちにとって夢にまでみた日本のお菓子。それに囲まれたらどんなに楽しいだろうと思っていた彼らは、それを口にしたとたん、それは夢でも何でもなくなる。ここで私たちは何をするのか。何でも手に入る贅沢な暮らし? 部屋の中でコンピュータゲームに興じる幸せ?

メルベンでメルベンを愉しむには、メルベンの人と同じ様に振舞ってみるのが一番。それは、ペットボトル片手にビーチを散歩したり、ラグビーやクリケットを見に行ったり、BBQに明け暮れたり。それが一番のメルベンの愉しみ方だった。

カオルは私が最も尊敬する人の一人だ。彼女は小学生にして姿勢が既にポジティブだ。香港に来て、メルベンが良かったなどとブチブチ不満を言うことが全くない。それが何の建設的な行動を生まないことを既に知っている。彼女が言う言葉は、純粋な驚きと客観的な判断だ。高いと思っていた物価が意外に安いことに彼女が最初に気がついた。いきなりつかまされたスーパーの広告を食い入る様に見つめては、日本円に換算していた。そして常に、これってすごく安くない?と驚く。私が必死で言う英語が伝わらない。「私も広東語勉強しようっと」と彼女はつぶやく。「みんな、急いでるねーっ。タクシー高速で飛ばしてるねーっ」という彼女は心底から新しい環境を愉しもうとしている。それを見て、私もバックパッカー時代の自分を思い出す。

タツミは一言、「ミックンは、オーストラリアにもどりたい気がする」とだけ言ったが、家探しに文句も言わずにつきあってくれた。漢字大好きなタカシが、さぞや中国語に面白がってくれるかと思ったのだが、彼はただ一言、

「人多すぎ」

と絶句したのだ。それも一度ならず二度も。日本が好きで、日本語が好きで、今でも日本の学校に行きたいと思っている彼は、ここに来てやっと、オーストラリアでの環境が、いかに人間として自由で素晴らしいものであったのかと知ったのだろう。青い空、青い海、広大なビーチを我が家で独占だなんて、お金をいくら出しても、ここでは実現できるはずもない。でもタカシ、これが価値観の違いなんだよ。逆に言えば、オーストラリアになかったものがここにはあるじゃない。

足早に通りすぎる人々。一人でもお客をつかもうと高速で飛ばすタクシー。畳み掛ける様に物件を紹介してくれる不動産やさん。みんなすごく勤勉だ。すごく働く人たちだ。早めに仕事を切り上げてボートにのってBBQに興じているオージーにはクレイジーにうつるかもしれない。でも、私はやっぱりアジア人なのだ。必死で汗を流して働く人、時間外もいとわず真剣に仕事に取り組む人に対して、私はやはり拍手を送りたいのだ。

立ち並ぶ摩天楼。山頂や中腹にも、ところ狭しと高層マンションが立ち並ぶ。でも無機質ではない。そのそれぞれの窓から、洗濯ものや窓際に置かれた小物が見える。逞しく生活を送る人たちのエネルギーが溢れている。ここは、ニューヨークやロンドンと並ぶ、世界有数の経済拠点の一つだ。まだまだ天井が見えない。まだまだのし上がってやるぞという勢いの溢れたこの国で、私たちも、その流れにのってやろうと思うのだ。

Posted by akemi at 09:39 | Comments (0)

2005年03月17日

香港に着いたぞ

キャセイパシフィック航空の飛行機に乗ってやってきたのは、ここ香港。カンタス、シンガポール、キャセイ。食事が美味しいのは、ダントツにシンガポールエアラインだよなーっ。

一家まとめてのお引越し。まだまだ家が決まっていないので、コーンヒルというところにある、サービスドアパートメントに泊まる。ホテルだけど、キッチンも洗濯機もある。最後のメルベンも、シティにあるショーアンハイツという同類のホテルに泊まっていた。とても快適。晩御飯を食べるついでにお買い物を、とそのアパートメントの真下にある、ジャスコに出かける。入った瞬間、一家全員が絶叫。なにこれ、ここ、香港だよねーっ!信じられない、日本と一緒! 旭屋書店まである。もちろん、日本語の本ばっかり。いきなり本を買ってとおねだりが始まったが、当面の生活資金しか持ち合わせていない私としては、そんなものに香港ドルを使えないのである。

とりあえず、夕食は、そのジャスコにあるフードコートでチャイナを食べる。が、しかし、当然なのか、じぇんじぇん英語が通じない。誰よー、英語が通じるから広東語なんか勉強しなくていいと言ったのは!!とにかく、どこで英語が通じるのかわからない世界。焦る私。すっかりオノボリサンで、英語版の広東語ブックを片手に四苦八苦。ついでにお店のお姉さんに発音も直してもらう。英語は通じないが、みんな優しい。麻婆豆腐定食の様なものを頼む。結構安い。でもてんこ盛り。ご飯が大根菜の炊き込みご飯みたいなのだった。豆乳も飲み物としてついてきて、スープも野菜たっぷりで大盛り。うーん、みんな、すんごい食べるなー。

正直言って、物価は高くないと感じた。確かに住居費はべらぼうに高いのだが、日々の生活で、日本食を作ろうと思ったとき、メルベンよりもこちらの方が、だんぜんに種類も豊富で安く食材も手に入る。日々の生活を送るのに、何の不便も不満も感じそうにない。ただ、やはり広東語を勉強せねば、ランチひとつも外食できそうにない。こちらの方に、広東語と北京語と、どっちを勉強した方が良いかしら、という質問をしたら、まず北京語を勉強する方がシンプルだよと言われた。でも、とにかく、とりあえず買い物に困らない程度の広東語だけはマスターせねば。それにしても、ここは、香港。まぎれもなくアジアである。俗に言う、白人さんの割合が、メルベンよりも極端に少ない。心の中にわきおこる安堵感。オーストラリアでは、自分でも気づかないうちに、多少の緊張感を持っていたのかな、と今更ながら気がつく。だめだ。安易な方向に行きそうな気がする。気持ちを引き締めねば。

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2005年03月13日

Aboriginal Art

韓国を離れる時、何か記念になるものをと思って買ったのは、李朝家具と広州窯。

家具の方は、子供たちにバキバキに壊され、東京での引越しの時に処分。広州窯の食器も、使ってなんぼと思って、どんどんと食卓に出していたら、子供たちのみならず、私の手からもスルリと落ちること数回、ほとんど手元に残っていないというのが実情。今回、オーストラリアの記念になるものをと思っていたのだけど、空港で何か買えば良いかな、程度に思っていた。

ダンナがアボリジナルアートのアトリエに予約をしたといって、一枚のプリントアウトを私に見せた。有名な人みたいだよという彼の言葉を聞くや否や、私は絶叫。その人は、「裸足のアーティストに魅せられて」という連載記事を、こちらの日本語の情報誌に連載されている方なのであり、しかも、私はその方の大、大ファンであって、バックナンバーから何から、ネットで隅々まで読みつくしては、こんなにべっぴんさんで、パワフルでポジティブな人なのに、高飛車なところがぜんぜんなく、すっごい面白い文章を書く女性だと、密かに憧れ続けていたのであった。メルベンを後にするこんな時に、そんなすごい方にお会いできるのかと思うと、メルベンに来たことを感謝せねばとまたまた思ってしまう。

お会いした真弓さんは、私の想像力を遥かに超えた魅力的な女性で、ポジティブなオーラが全身から溢れ出ていた。彼女は丁寧にアボリジナルアートの説明をして下さった。一口にアボリジナルアートといっても、トラディショナルからモダンまで、もちろん、アーティストによってタッチが全然違うのだ。前衛的な近代アートの様なものもあり、アボリジナルアートの王道を行く様なスタンダードなものまで多種多様。一種類であれば、値段に応じて選んで、ということも考えられるが、全くタッチが違う。選べない。どれがいいのか、というよりも、どれも良い気がするのだ。ジミー大西さんの絵が大好きな我が家としては、芸術というのは、やっぱりパワーだよな、と思うのだ。どんなにテクニックが素晴らしくて、高額で落札される様な芸術品であっても、パワーのないものは好きではない。しかし、そのアトリエに置かれている作品は、それぞれがものすごいパワーを発していて、こちらがフラフラになりそうになるくらいだった。だから選べない。どれもすごい。これにしようと思う。時間がたつと、また雰囲気が変わって見えたりする。横置きのものを縦にするだけで、いいなと思ったりする。光があたると更に良いなと思える。壁にかけてみると、もっと良い気がする。選べない。ダンナが私に言った。「あかん、値段はいいから、お前が決めてくれ」そんなー、達ちゃん、私だって選べないよー!!

結果的に選んだものは、ガブリエルさんという女性のミルキーウェイシリーズの一枚。巨大なキャンパスに描かれたミルキーウェイは、アーティストを目指すと言っているタツミにとってもお気に入りの一枚だった。とにかく、本物が欲しかった。子供がずっとそれを見ながら育って、アートのすごさというものを、日々感じ取って欲しいと思ったのだ。


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2005年03月12日

SUNDAY MORNING

今日はタツミのオーストラリアでの最初で最後のバースデイパーティの日だった。

本当だったら、手作りのパーティが好みの私としては、我が家でゆっくりと時間をかけてたっぷり遊んでもらいたかったのだが、既に引越し荷物を全て出してしまい、ホテル暮らしの今となっては、それもできない。こんな忙しい時にとは思ったのだが、物より思い出だよな、と思って企画したこのパーティは、いわゆるアミューズメントパークで、パーティヘルパーがつく。親はお金を払うだけで、その他の大変なことは全てプロが司会進行、全てのサービスをしてくれるのだ。

タツミの友達が13人、タカシの友達が4人、うちの子を含めて総勢21名のパーティ。みんな、この日を待ちきれないといって楽しみにしていてくれた。昨年は、手作りのパーティをと思いながら、大学院での勉強が忙しくてお流れになってしまった。手作りにこだわってやらないなら、プロに頼んででもやった方がいいよな、と思い直した。真知即行。カオルは2回とも、スリープオーバー(お泊り)込みの大誕生日大会だったのに、男の子たちはどうしても後手にまわってしまう。

子供たちのママさんと思いがけず、ゆっくりと話すことができたのが嬉しかった。タカシとタツミと兄弟ともどもお世話になっている男の子二人のママは、私のこちらでの最初の友達でもあり、生涯忘れることのできない親友でもある。彼女のおかげで、私はこのオーストラリアの学校での居場所を得た。たった一人の日本人の私に、とてもよくしてくれた。いつも相談にのってくれて、同じくITの職を目指している彼女。学校のことだけでなく、私自身のこれからのキャリア、彼女のキャリア、試験勉強のこと、そんなことも話し合える人だった。そんな彼女から、「私にとっての貴女は、Special だった。貴女は、warm で、親切で、全てに感謝している。貴女がいなくなるのはとても辛いの」と言ってもらえたことが嬉しくて、それは、私が言うべき言葉なのよ、と私は続けた。

昨日は、学校に行くセカンドラストの日だった。校長先生が出てこられて、来週は会議があって会えないかもしれないから、と学校のロゴの入ったタペストリーとキーチェーンを、それぞれ3人の子供たちに下さった。誰にでもあげるものではないの。海外に行かれる特別な生徒さんだからね、と言って頂いた。昨日は陶芸教室の先生に、そして今日は担任の先生に、涙がこぼれそうだよと言われた。あぁ、こんなにも子供たちはみんなに愛されて、受け入れられていたのかと思うと、感謝の気持ちでいっぱいでいっぱいで、どこに向かってありがとうと言っていいのかわからないくらい、胸がいっぱいになる。

引越しがおわって、ゆっくりホテルで休んで、ホテルから学校へ行く道すがら、Maroon 5 のCDを聞く。全て船便で送ってしまったのだが、手元に残したたった一枚のお気に入りのCDだ。Sunday Morning がかかった瞬間にカオルが叫んだ。「やめてー、ママちゃん。そんないい曲かけたら、カオちゃん泣いちゃう」

という彼女の声を聞きながら、既に私の目には涙が一杯あふれて止まらなくなった。急いで曲を変える。運転できなくなっちゃうからだ。でも子供を送った後、またその曲を聞いて、思いっきりボロボロと涙をこぼしながら、どこまでも広がる青い空を眺めながらハンドルをきった。贅沢な日曜日の朝の感じ。その感じは、オーストラリアでの生活全てに通じる、ストレスがなくってフラットで、人間味溢れる暖かな生活そのものに似ている。ここでの生活がいかに、子供たちにとっても、私にとっても、例えようもなく素敵なものだったのかということを、今更ながらに知るのだ。土曜日に通っていた、日本語補修校でも、素晴らしい友達に恵まれた。それぞれの子供たちに、いろんな国の友達ができた。歳をとったのかなとも思う。色々な方々のお気遣いが、身にしみてありがたい。毎日毎日、その感謝の気持ちをどうやって表わせばいいのか、そればかり考えている。

Posted by akemi at 23:07 | Comments (0)